第7回 「同じ年齢の方より若く見えるようにしています」 ある90歳の患者さん
月に一度サークル薬局に処方箋を持参いただく90歳の患者さんがいらっしゃいます。仮の名前を若井(ワカイ)さんとしましょう。いろいろな病気は持っておられ3つくらいの病院を掛け持ち通院しています。
若井さんは、10月のある日お昼くらいに来局されました。朝から来ていたが混んでいて待ち時間が長く今までかかったこと、おなかが空いたことなどが挨拶代わりです。現在の体調や今回の薬のことなど一通り確認説明させていただき、「若井さんには、失礼かもしれませんがとても90歳には見えません。お話もしっかりされていて立派ですね」とお話ししました。その時に、若井さんのお話してくださった言葉が、「私は同じ年の方よりも若く見えるようにしています、またそう思うようにしています」でした。患者さんのなかには、「私はもう年だから仕方ないの、年だからどうやっても治らないの」と口癖のようにマイナス言葉を連発する方がいます。でも来ても治らないはずの病院に来て、飲んでも効かない薬をもらいます。病院の玄関があく前から2時間も並んでいる方もいます。でも本当は、少しでも痛みがなくなり、若井さんのように少しでも若さを保ちたいから通院していると思います。世界トップクラスの長寿国で暮らす私たちです、若井さんのように考え発言行動すると治療がより効果的かもしれませんね。
デンマークで進行中の、高齢者の死亡率についての追跡調査データが英国医学雑誌に収載されました。対象者1826人のうち387組(774人)は同性の双子でした。その双子の対象者が何歳に見えるかを老年科10人の看護師が推測し、10人の推測年齢の平均を見かけ年齢としました。その後約7年間追跡調査をしました。その結果は、双子なので実年齢が同じでも見かけ年齢が1歳高くなると死亡率が毎年8%づつ高くなるというものでした。日本でも東北大学で同様の研究がされ同じような結論が出ているそうです。高齢者の長寿については「人は見かけによる」可能性がありますね。若く見えることは長寿には重要であると証明されています、若井さんスゴイ!