第4回 薬は頑張っています、次は患者さんの番です
尿酸はなんとなく厄介者のイメージ、漢字で書いても発音もいい響きではないですね。尿酸は遺伝情報のDNAやエネルギー物質のATPに含まれるプリン体が分解して作られます。従ってレバーや魚卵、ビールなどプリン体の多い食事だけを目の敵にする方もいますが、自分の体の細胞が古くなるとできるものなので食事にかなり気を付けてもなかなか尿酸値の低下に直結しないのはこのためです。痛風発作は足の指や足首など腫れて激痛が特徴です、風が吹いても痛いと言われることから痛風という名がつけられました。
この患者さんは、激痛の痛風発作を消炎鎮痛剤で治めた後、尿酸を下げる薬で尿酸値(基準3~7)が7点台まで下がってきたが、それ以下にはなかなかならない。その時主治医が言った言葉「薬は頑張っています、つぎは○○さんの番ですね」です。うまいこと言うお医者さんですねと感心しました。これ以上は薬を増やすのではなく、生活習慣から治療しましょうとのお話です。そのコツは1日の総カロリーを落とすことがまず重要ですが、焼酎はプリン体が入っていないと安心してのむのはいかがでしょうか。アルコールそのものが腎臓からのプリン体の排せつを抑えることがわかっています。ビールだけが悪いのではないのです。また、アルコール量が増えると酒の肴がプリン体の多いものになってしまいます。痛風専門医によるとあまり食事の制限をしなくても、お酒を減らすだけで劇的に尿酸値が下がる患者さんがたくさんいますとのこと。
ちなみに尿酸のかたを持つわけではありませんが、神様は無駄なものは何も作っていません。尿酸は私たちの体の中で適量のときには抗酸化作用を発揮しています。赤ワインなどのポリフェノールと同じ抗酸化作用で老化を予防している大切なものでもあります。尿酸だって頑張っています。